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多層グレージングをつかった額装表現

本日は、TruVue社のデビッド・ラントリップ氏が、art+framing TODAYマガジン(2024 OCTOBER)に寄稿した、低反射グレージングを利用したコインの額装方法を一部抜粋・要約・加筆してご紹介いたします。

グレージングをデザイン要素として活用する

グレージングの主な 目的は、作品を保護することです。
グレージングが保護するものには、汚れや汚染、紫外線によるダメージ、物理的なダメージなどがあります。

フレーマーの皆さんがグレージングを選択するとき、一般的には「反射を抑えたい」「作品を紫外線から守りたい」というようなお客様のニーズを考慮することが多いでしょう。しかし、グレージングにはデザイン要素としての使い方も存在します。グレージングを単なる保護要素としてではなく、創造的に扱うことで、作品を新しく興味深い方法で見せることができるのです。

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多層レイヤーが生み出す立体的なコイン額装に挑戦

さて、ここではコイン額装を例にとってみましょう。通常、コイン額装では、背景の上に平らに整然と並べる、画面全体のバランスをみながらランダムな配置で並べる、などの手法が使われることが多いと思います。ここに、3次元の要素を加えることで、オブジェクトのフレーミングに新たな深みと次元が生まれ、「一体どうやってるのだろう?」とお客さまを驚かせることができるのです

具体的に設計図とともにご説明します。まず、今回のデザインでは3層(A, B, C)のミュージアムガラス(以下、ガラス)と3つのフレームを使用しました。同サイズにカットされたガラスAとBはスペーサーで仕切られており、最初のコイン2枚はガラスBに取り付けました。

3枚目のコインはガラスBとCの間に配置、ガラスCに取り付けました。4枚目のコインは、黒のシルク生地で裏打ちされたフレームF3のマウントボードに固定しました。

このデザインで最も苦労した点は2つあります。

コインの配置:フレームとグレージングの間にコインを仮置きしながら、丁度よい重なり具合、バランスを探しました

マウント方法:ガラスへのマウント方法として、pH中性の水溶性接着剤を使用しました。希少価値の高いコイン額装には最適なソリューションではありませんが、今回のデザインを実現するための妥協案として採用しました。

低反射グレージングが可能にする表現

多層レイヤーをデザインとして成功させるためには、低反射かつ額装用の取り扱いに最適なコーティング系のグレージング選びがマストです。ラーソン・ジュールの取り扱っている、TruVue社のミュージアム・ガラスOptium Museum Acrylic、ラーソン・ジュールのUV99などをご利用いただけます。

コインだけに限らず、ポストカード、アート作品、コンサートチケット、などに応用が可能です。たとえば、最後のレイヤーに鏡を使えば、さらに面白い効果が生まれることでしょう。ラーソン・ジュールの工房でも、多層グレージングを利用した額装をいくつか制作し、展示しています。グレージングを「デザイン」として活用する方法、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか?

注記:ラーソン・ジュールは、この記事でご紹介した額装方法や仕上がりについて保証するものではありません。実際の制作にあたっては、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。また現時点でラーソン・ジュールの工房は上記のような額装品の加工は受け付けておりません。

本記事中のコイン額装画像は、TRUVUE社サイトより転載いたしました。画像の著作権は、TRUVUE社に帰属します。


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